Ensphered Vision

全方向型

Ensphered Vision は、1台のプロジェクタによってつなぎ目のない全方向映像を呈示することのできる、球面ディスプレイである。一般的に、球面は没入型ディスプレイとしては、理想的な形状である。それは、球面の中心に視点をもってくることで、視点とスクリーンの距離が常に一定に保たれるためである。そのため、使用者は違和感なく全周映像に集中することができる。

この視覚ディスプレイは、1台のプロジェクタ、及び2枚の鏡によって構成されている。プロジェクタからでた光線は、使用者の頭上にある平面鏡で反射され、球面の天頂部にある凸面鏡に投射される。その光線は、凸面鏡で拡散され、球面スクリーン全体に投影されることになる。

このスクリーンの視野角は、水平360度、垂直125度である。.また、スクリーンは発泡スチロールの切り出し作られており、8つの部分に分けることができる。

(左の図は、スクリーンの4分の1をはずした状態である)

着座型

Enshered Vision は、光学的配置を変更することで、投影される映像の範囲を変えることができる。このタイプは、投影範囲を使用者の前方に限定することで、高解像度化を測ったものである。

このディスプレイの視野角は、使用者が前方を向いた状態を最大として、水平270度、垂直100度である。

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装着型

この装置は、Enshered Vision の光学的手法を用いた「装着型没入ディスプレイ」である。 Enshered Vision は、1台のプロジェクタのみで広い範囲に映像を投影することができるため、装着可能になるまでシステムそのものを小型、軽量化することが可能である。

このディスプレイは、「非設置」と「広視野映像呈示」を併せ持つため、 これまでの視覚ディスプレイにはない、新しい可能性を生み出すと考えられる。


HDTV型

球面没入型ディスプレイでは1台のカメラ映像を広範囲に呈示するので、解像度の低下が避けられない。実写映像の場合、視力換算0.03となり大きな画質阻害要因となる。この装置はこれまでのNTSCベースに替えてHDTV(いわゆるハイビジョン)ベースを採用したものである。

HDTVを用いることで有効垂直走査線の増加に加え画面アスペクト比による画素利用率向上が期待できる。本装置では実写投影時解像度は視力換算0.1相当が得られている。